nisetono

鉄オタの残響さんは猛省が必要ですなこれは。いったい誰が鉄オタなのかわからなくなってきた

残響
こーしんりょーさんが仰った「鉄道×エロゲという発想」

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発想から導出される「やりたいこと」に同調できれば結構ある個人には刺さる作品になる

とのことですが、これ、こーしんりょーさんとは逆になるんですが、自分にとってはハチロクルートを泣きながらプレイしている喜びなんですよ。だから今はまだマシンガントークフルバーストw をやめときますが、ハチロクルートの在り方、進行の仕方、キャラとストーリーと鉄分の組み合わせが、本当に素晴らしかった。

トンチンカンさもあるけども、そのハチロクルートにおける「やりたいこと」が鉄オタ……どっちかというと、鉄道文化、というよりも、機械愛好家としての自分に、突き刺さった。だから、こーしんりょーさんとはまた別ですけれども、その御見立てには納得します。


nisetono
でも、鉄道文化そのものにはあまり興味が無い残響さんは、こーしんさんほどにはこのポーレットには感動できないんだよねwと突っ込んでみるテスト


残響
だってマイントレジャーでの鉱山鉄道ですが、描写薄いんですもん、とマジレス
こういうローカルな工業鉄道って、自分こうして資料をいつも眺めるくらいには好きだったもので


p24

p25


(河田耕一『鉄道風景30題ー過ぎ去ったときを再現する』より。鉄道模型オタならお世話にならん奴がいない機芸出版社の本でござい。T・M・S! 残響はこういう本ばっかり持ってる)


nisetono
いつの間にか周りが隠れ畜生鉄道ゾンビだった時のような顔をしている自分ですが、メルトンさんはこーしんさんの熱き思いを聞いて正直どう思いましたか?

merunonia
私はこーしんりょーさんの仰ったこと、納得できる部分は多いです。今回の『まいてつ』に限っては、私のリアル環境上どうしても疑念が沸いてきてしまいましたが、こういう自由さというか。それらを通した面白さというか、ヒロイン達が当たり前のようにお風呂に一緒に入っていたりとか、そういう本来はないような感覚が突き通って楽しいというのは他のエロゲでもよく感じることもあって。

『まいてつ』は自分には合わなかった部分はあるのだろうけれど、それはどうしても現実がちらついてしまい、そこに比較してしまう自分があったからで、「こまけぇこたぁいいんだよ!」ではないですが、そういった面白さは確かにあるんだと思うのです。だからこそ、こうヒロインは可愛くて、よくできているのに楽しめなかった自分が悔しいというか謎の感情が(支離滅裂

nisetono


p26

なるほど、僕はてっきりこーしんさんは「童貞主人公に、ポーレットみたいな清楚そうで大人しげな女の子がギリギリのアプローチを仕掛けるところがエロいんだよぉ」みたいな文脈オンリーで評価しているのかと思っていたので、そこまで深い文脈があったとは正直驚きでした。


こーしんりょー
ゆるふわお姉さんに優しくアプローチを仕掛けられたい欲求がないとは言わない。


nisetono
ぼくもポーレットのキャラ自体はわりと好きだし、メルトンさんが仰るように「よく出来ている」部分はあるとは思うんですが、どうにもたぶん僕の場合はこーしんさんが仰る「やりたいこと」というのが良くわからないというか。
うーん、なんだろ。

「鉄道×エロゲ」で「それなりに筋が通った作品を作ろう」くらいに理解しちゃうところはあるんですよね。
それは僕としてもBくらいには評価できるんですが、なにか「鉄道ならではの作品!」と言えるほどの凄みや「これは理解できんぞう!」みたいなヘンテコさはちょっと弱い。普通の物語として普通に見られてしまって、そしてその「普通の作品ならではの弱さ」を普通に感じてしまうってところはありますね。

端的にこのルートの不満点を言えば...
これはメルトンさんが結構言っていることですが、それを僕流にいえば「何か一つにこだわっているところは無くて、いろいろなモノをそれなりに散りばめながら、あとはそれをストーリー展開で強引につなげている」ようなところがありますよね。例えば、最初は「地域の観光資源がどうこう」っていう話をやって、そこでキジバトがどうこうみたいな話をする。

p27


僕はこう言う「地元の観光資源がどうこう」みたいな話を、一つ一つ積み重ねていくような話だったら、それは「普通の物語」として良いとは思いますが、、、そこから炭鉱の話とか「事業としてどうこう」みたいな話に「どんどん拡大していく」わけでしょう。その事業のリアリティがどうこうって話は、前の対談でしたからいいですけど。
そういった事業の話を進めていくうえで、それがポンポン進みすぎたっていう話も前にしたからいいとしても、何かそこでのポーレットとの恋愛話とか説教話がちょっとなぁというか。具体的にはこういう描写とか展開なんですけど。

p28


これ、別に普通の青春エロゲとか恋愛エロゲとかだったらいいんですよ。これを少女ヒロインに向かって言うのは分かるんですが、なにか事業がどうとか、市政がどうとかいってる最中に「今さらこんなことを言われてもー」って感になってしまうんですよね

merunonia
ポーレットルートの恋愛描写はすいません、具体的にこうだというのは私は述べることはできません。チャプター12の母親とかの話がそこらへんの重要なところだったのかなと思いつつ。  
ポーレットルートのやりたいことっていうのだと、印象としては「御一夜マイントレジャー」を軸にした、川下り、駅弁、炭鉱、そして鉄道等の御一夜の観光資源をまとめた列車事業と、それに対比したかつての補助金頼りになってしまった御一夜の炭鉱事業の過去、言ってしまえば誰もが口を閉ざしたい「黒歴史」を、御一夜の誇れるものにしたい!

そしてれいなのキハ改修があって、今の幸せからさらに幸せになるためにっていうお話が、やりたかったのかなとは私思ってました。 

恋愛描写とかポーレットルートのそういった良さをこーしんりょーさんから個人的にお聞きしたかったりです。(振り


こーしんりょー
メルトンさんがあらすじをまとめてくれたので話しやすいですw 

「実はポーレット/双鉄くんは過去に出逢った彼女/彼なのではないか」という確信に近い、けれどお互いに言い出せなかった疑念。それが12話で確認される訳ですが、ここで個人的な恋愛描写のツボである「恋を自覚する瞬間」が描写されます。
双鉄とポーレットの幼少期の出逢いを描いた回想シーンで、実はお互いに相手の気持ちを勘違いしたまま、しかしお互いに「救い」を与えていたことが分かります。

実際、人は他者の考えていることなど知りようがなくそうした勘違い、すれ違いは起こりえましょう。しかし、知りようがないままに偶然「救い」を与えることができたという忘れられない記憶が双方にあり、そのことを「相性が良い」という言葉で表したところに恋愛描写としてはグッと来ました。
かつて双鉄とポーレットはそれぞれ憎しみ(黒歴史)を抱えた点と点どうしだった、それを繋げたのは鉄道だった。おひとよマイントレジャーで様々な観光資源と事業、場所を繋げるのも鉄道だ

そして、過去のものだった鉄道の復活が二人を出逢わせたように、今度もまた過去のものだった鉄道の復活が御一夜の発展に繋がる予感をそれまでの物語で見せてきた。この緩やかな繋がりが、双鉄とポーレットの再会という鉄道を交えたミニマムな物語が、御一夜という街全体に波及していくように見えて、そこに僕は感動と言うか、嬉しさを見出したんですよね


nisetono
しゅごい


僕が言うと嫌味に聞こえそうですが、こーしんさん、たぶん残響さんよりも普通にロマンティストじゃないですか!


こーしんりょー
どっからどう見てもロマンティストでしょ! 今まで僕のことどんな目で見てたんですか!


nisetono
p29

こんな感じ?


残響
ネタを一切交えないこーしんりょーロマネスク。しかしそういう見方してたんすか偽トノさんw

nisetono
まぁ僕も一応はこーしんさんが言及した物語部分について言及すると「そういうことが語りたかったのだろうな」とは思うんですよね。

ただ「そういうことが語りたいのだろうな」と「その物語に共感するとか感動するとかロマンに没入する」との間には、僕の場合かなり深い溝がありまして。

p30


いやまぁこの幼女ポーレットがこの作品の中で一番かわいい!っていう話はさておくとしても。
僕にはそういう「主人公とポーレットの過去話」と「主人公とポーレットが現在進めている事業の話」と「現在の主人公とポーレットの恋愛話」が「感覚的にはバラバラに感じる」というか「それが適当に繋がっている」っていう感じがしてしまったんですよね。

あえてわかりやすく、極論的な形でいえば「主人公とポーレットの過去話」がなくても「現在の主人公とポーレットの恋愛話」は成立するじゃないですか。ポーレットが弱めの人で、主人公が基本的に完璧超人なので。
これまたありがちな典型的な萌えゲでいえば、あまりとりえのない主人公だけど、主人公とヒロインの間に「過去の思い出話」があって、それが腐れ縁になって、そこから恋愛が発展してどうこうで「相性が良い」っていうなら僕は乗れるんですよ。
でも、主人公とポーレットが、まぁさっきの「雷が撃たれた」みたいな話はちょいアレだっていう話はさておき、そこで「なんか上手く行っている」のに、その上で「過去の思い出話がどうこう」といわれても「ふーん、そんなことあったんだぁ」みたいな感じしかしない。恋愛を高める為のドラマツルギーではなくて、僕にはそれが「ワンエピソード」的に見えてしまう。

残響
鉄道=「繋げる」って発想を、こーしんりょーさんの発言を聞いて改めて思い出すという、お前本当に鉄オタなのか?という残響です

そのあたりの「繋げる」の、偶然性の奇蹟がある!っていうのをめっちゃ感動するこーしんりょーさんと、「もっと良い繋げ方があるのでは?」という偽トノさんの、二人の議論が面白いので口が挟めないw
自分も、こーしんりょーさんがあの「解放」で感動された、っていうのはよくわかるんです。とても良いシーンでした

ただ、非難するわけではないですが、あまりに少年双鉄君と幼女ポーレット、そして現在双鉄君と、現在ポーレット、の時系列で、「もう一回くらい逢っててもよかったのでは?」とは思いました。あまりに間が空きすぎてて

nisetono
まぁたぶんこの「とても良いシーンでした」を「A]的に捉えるか「B的」に捉えるか?の間には、深い溝があるなぁとは僕は思うんですが。


こーしんりょー
それこそ、鉄道フェチズムのない僕にとってのフェチズムに突き刺さったシーンなのかもしれませんね。確かに、もっと上手く描けたのかもしれないけれど、僕にとっては現状のバージョンで十分深く突き刺さった。だから、余計に13話以降の宝生元忠との争い周りが長く感じたんですよね。12話が僕にとってクライマックス過ぎた。


nisetono
あそこは完全に蛇足だよなぁとは思います。
いやまぁあそこを描かないと「地域全体の一体感」みたいなものを描けないっていうのはわかりますが。


残響
そこに関しては、再び言いますが、「難攻不落の双鉄君を攻略できた私なんだからっ」というポーさんの独白でぼくは許してますw
(あ、ちょっとそれは時系列的にもうちょっと後だった。賃金云々は、たしかに。更にぶち込むかっ?!みたいな


こーしんりょー

p31

というか、このシーンでそのままエンディング直行でよかった。12話で完全に一皮むけたポーレットが、その後の困難なんかに負けるはずがない。


残響
さっきまでの議論、とくにこーしんりょーさん側を、残響から見た追認コメントなんですが 
さっきからずっとこーしんりょーさんのロマンティシズムを聞いてて、何かデジャヴというか、この感覚、SpiSignalで読んだぞ、と思って過去記事確認してたんですが、

やっぱりこーしんりょーさんのループ系、SF系、あるいはニトロゲーの読解における、こーしんりょーさんにヒットしたポイントである「刹那の一回性が登場人物をガラっと塗り替えて、そこからキャラが前に進んでいく」っていう哲学に通底するのかなぁ、と。

例えば、Ever17とか、Sense offとか、それから特にスマガのレビュー。(プレイ日記含む) 
あと、「打ち上げ花火~」の「物語る物語」というのを、ポーさんが過去を幾度も再認しながら許す構造とか、「物語を武器にして現実に立ち向かっていく」のも、ポーさんが双鉄君との恋や、「繋がりの物語」によって、力を得て前へ!っていうのが現れているのかな、と、かってにこーしんりょーさん分析を失礼します。


こーしんりょー
数少ない拙ブログ読者がこんなにも読み込んでくれていて感涙である。ありがとうございます。


nisetono
既にまいてつ対談から離れてしまうエロゲオタトークになってしまうんですが。
そういう「自分のツボ」というか「フェチズム」って、自分はある程度は意識するとは思うんですが、それを意識すればするほど「フェチズム」に関しては、ある種の抗体みたいのできません?抗体は言い過ぎか。まぁ「ハードルが高くなる」の方が妥当ですね。僕もたぶんそういう「物語のフェチズム」っていうの、普通にあると思うんだけども、僕にはそこらへんが結構ハードル上げるタイプなのよね


こーしんりょー
そりゃあそのフェチズムを自覚する(=各作品をジャンルに当てはめる)に従って、そのフェチズムに属する作品のハードルはどんどん上がりますよね。先程明確にフェチズムとして述べた「恋を自覚する瞬間」に萌えるってのも色々なパターンがあると思うんですが、そこで『まいてつ』が特異なのは例の無茶企画から来る「鉄道」という要素で、少なくとも僕のフェチズムと鉄道を絡めて展開させた作品は他にないぞ、と。


nisetono
駅弁セックスが好きなぶん、駅弁エッチには辛い自分だが、まさか本当にSLでしかもSMな駅弁をするとはみたいな?


残響
……そうですね。ハードルが上がる。少なくとも最初にブチ抜かれた作品との相違は、常に考えてしまう。「期待してたけど、なんかニュアンスの違いにより……」とか「肩透かしだった……」というのが起こりがちではあります。自分も姉……ダダ甘やかし姉属性に関しては、拘ってしまう。「そこまで乳を爆乳にしなくてもええんや、品性を重視しようよ」みたいにただ、そこでやっぱりハチロクルートは、自分にとって処女膜ぶち抜かれたような感じがあります(気持ち悪い表現)。
だってここまで既存のジャンル、テーマで、今までなかった「鉄道そのもの×エロゲ(少女表現)」をやってくれて、完成度高くて。そしてこの先の業界を考えると、もうこんなエロゲ10年は出ないぞ、うわぁぁあああん!(涙)っていう感じで、こーしんりょーさんとはやっぱりまた逆の方向で「他にないぞ」っていう感じですね。


こーしんりょー
エロゲからも離れて鉄道繋がりで映画の話をすると、直近に観た映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』は高速鉄道が舞台の韓国製ゾンビ映画で、『ワールド・ウォーZ』が打ち立てた「雪崩のように襲いかかるゾンビ表現」を鉄道車両内でやるというアイデアが「やられた! こんなの観たこと無い!」って感じでしたね。さらに『新感染』では『ワールド・ウォーZ』ではできていなかったドラマ描写も素晴らしいと来ている。

いや、やっぱり表現って日進月歩で進化するんだなと。そんな感じで、ポーレットルートは僕の中では現状最先端にひとつに置きたい気分ですね。
もちろん、SLで駅弁セックスも見たいです。


nisetono
うーむ、僕は別にSLで駅弁セックスは見たくないかなぁ。言い換えると、物語でブチ抜かれた感っていうのは、余りない感じはあるんですよね。


残響
ピストンとシリンダーがすでにセックスを暗示しているのですよ、駅弁は象徴領域においてなされているのです、という新解釈。  まあ、物語としては、新規味はないというか、王道……王道?そりゃあかなりミルフィーユ的に次から次へといろんなのを乗せてはいますが、基本的に「お悩み解決!」物語ですからね
(しかしこーしんりょーさんが挙げてくだすった映画、どれもB級パニックものの臭いがする(良いじゃないですか


こーしんりょー
(『ワールド・ウォーZ』はブラピ主演なので超A級映画です! ドラマの出来は酷いけど!

nisetono
たぶん僕のこの作品に対する微妙な違和感を別の形で説明するなら、僕は「れいな」ちゃんが好きなんですが、それ以上にサブヒロインルートが、僕としては全く違和感ないんですよね。

ここで、こーしんさんだけではなく、さっきハチクロルートをあんなにマンセーした残響さんまで敵に回すと、まぁ僕はハチクロルートの方が「完成度は高い」と思いますが。なんていうんですかね。

ハチクロルートであっても、主人公とヒロインの恋愛に「なんかいろいろなモノをのっけているだけなー」っていう違和感がぬぐい切れないんですよね。

その「いろいろなもの」によって「何を語りたかったのか?」っていうのは僕だってわかるつもりですが、別段僕としては「ふーん、そうですか」以上のものは特に感じない。
わりと嫌味抜きで、これは萌え豚的なイキリとは関係なく、ぼくとしてはメインヒロインのシナリオよりも、

p32


このシーン単体の方が、よほど僕の心に深く印象を残してますね。
また残響さんに喧嘩を売るようなことを言えば、これはハチクロルートよりも「レイルロウド」という不気味な存在の特注をよく表していると思うんですよ。

確かに「れいな」は「赤ちゃんみたい」ですが、しかしまぁ普通に成人並みの知能はあるわけです。だけど性能としては「赤ん坊」に近いようなところはあって、それも自分の特性の故だと認識しているので、あまり恥じることはないばかりか、なにかそこで「周りの人に甘えることで(露悪的な意味ではなくて)生存とコミュを図っている」ようなところがあるじゃないですか。
んで、こういう「れいな」ちゃんを見て、主人公は普通に「れいなちゃんに萌える」わけですよ。そこにトラウマの解消だとか、幼いころの思い出とかスルーして、なんていうんですかね。

僕はこれ、こっちの方が恋愛物語としては「正直だなぁ」と思うところはあるわけです。
これを逆に言い換えると、ヒロインルートの「イチャイチャ描写」も基本的にはそんな感じなのですが、僕にはメインシナリオはそこに「何だか恋愛とか実存とかに繋がりそうなものをいろいろくっつけているだけ」っていう気がしてくるんですよね。

残響
仮説を言います。正しいかどうかはまだわかりません。考えもまだ足りてないので試論ですが。 

「テン年代の一部のエロゲストーリーテリング」みたいなとこで……

そのダメな形がラムネーション、あるいはトラベリングスターズで、その良い(とぼくは思えた)形がノラととなんですが(ここでノラとととを出すことは応相談)、それがテン年代以前のエロゲ物語とどう違うかというと、「無限にネタを増やしていく→プレイヤー自身がそのネタを拾っていって自分で物語を集め、自分なりに〇〇って作品の物語を生成していく」っていう仮説です。
ネタが、平行・並列的になってるのが例えばラムネーション(そしてノラとと)、上下階層・重層的になってるのが、このまいてつで、どちらにせよ「沢山のネタを提示する」という点では同じで。
で、プレイヤーはその断片的なネタを自分で集めていく……こーしんりょーさんだったらポーレットルートでロマンでもって。残響だったらハチロクルートでもって。

「自分に合う形の物語を見出していく」とでもいえましょうか。作家側が一本筋の通った物語を提示するのでなく。(逆に提示してるのが、サブヒロインルート、だと思います。)
トラベリングスターズのところで「この作品ってネタの集積なのではないか?」ってお話しましたが、自分が何を見出したがってるか、っていうのに、まいてつっていう物語の特異性があるのかなぁ。と。だから、メルトンさんは、ご自身の体験を踏まえて、リアルの嫌なところを見出してしまった、という仮説です。


nisetono
いや、まぁそんなの読者がある程度は自分に都合の良い物語を見出すのは、それ自体は単なる読者の習性みたいなものだし。
うーん、そうですねぇ。物語として一本筋が通っていない、というよりも、複数の筋をそれなりに上手く合わせてるって感じはあるんですが。これを別の言い方で説明するなら、やっぱり主人公の「ソウテツ」君の存在ですかね。この物語はプロローグの初めからわかるように、ある程度は「ソウテツ君の物語」と言えるような「ところもあって」。

特にハチクロルートでは、そうした「主人公の物語感」が強く出るところではあるんですが、その他ルートでは「最後の方にちらっと」主人公の悩みは解決しました、みたいなものが出るくらいですよね。
僕がポーレットルートの、こーしんさんが感心した話にちょい違和感を覚えるのも「そうした主人公の物語感」がなんかそこだけ「ドラマチック」に出ている感じはあって、あとは特にそこは関係ないみたいなところがある
逆に言うと、サブヒロインルートはそこらへんほとんどスルーで、言ってみれば普通のエロゲ主人公と同じ程度の「適当な感情移入キャラ」に成り下がっている。だから、僕としてはそこらへんで違和感を覚えずに済む。
なんていうんですかね。このソウテツ君の「エロゲの普通の主人公」であり、

まぁその意味じゃ普通に完璧超人として適当に振舞いながら、急に「登場人物の一人となって、ドラマを演じてしまう」この妙なギャップっていうのが、何とも感はありますな。


こーしんりょー
私の見方ですと、双鉄くんは幼少期に家族を喪うという大きなトラウマを抱えるも、一度はそこから復活を遂げた(=大人になった)キャラクターとして登場して、大人としてヒロインである少女たちとの交流を通じてヒロインたちに気づきを与え成長させる(=大人にする)構造が土台にあると感じていました。

ただ、大人になった双鉄くんには最後の棘がひとつだけ残っていて、それがヒロインの成長した姿を見てはじめて抜くことができる、と。だから各ルートの最後にちらっと双鉄くんの物語が語られ、閉じるという構成なのだと考えます。
未プレイの『ものべの』からイメージを引きずっていますが、この大人の目線で少女を愛でる感じが、Loseというブランドが目指すロリゲーテイストなのかなあと。


残響
双鉄君萌えを抜きにして話すと、個人的にはこーしんりょーさんの御見立てになるほど、と思いました。脊髄反射で「群像劇」と答えそうになったものの、しかし基本ずーっと双鉄君の一人称ですからね。偽トノさんの仰る疑問も確かにそうです。


nisetono
うーん、見立て自体は僕も同意なんですよね。そういう物語だっていうのはわかる。


nisetono
でも、これには疑問点が二つあるわけです。

見立てそれ自体と言うよりは、それが見立て通りに物語として機能しているのかという点ですが。

一つには、さっきから僕が言っているように、大人としてヒロインである少女たちとの交流を通じてヒロインたちに気づきを与え成長させる(=大人にする)っていうだけなら別にこーしんさんが感心した物語はあまり必要ない。だから僕にはそれが余計なものとして見えてしまう。
「大人としてヒロインである少女たちとの交流を通じてヒロインたちに気づきを与え成長させる」っていう部分だけで、要は地方活性化云々をやっていて、ヒロイン達を成長させた教師がJKとエッチしましたってだけの物語で「大人の目線で少女を愛でる」は成立するハズなので。これは「日々姫」ルートはこれで良いと思いますが。
そうして、第二点。ハチクロルートはその点で、明らか異なる物語なわけです。僕はこの物語は、僕が言う意味では「あまり成功していない」とは思いますが。
このルートでは明らかに、主人公とヒロインの相互依存性が強く語られていて、それを問題にしているとおもう。というわけで、次回のハチクロ&その他トゥルールート編に続きましょう。