nisetono
vostokさんの話はぼくにとっては結構納得がいきますね。このシナリオ、基本は明日原に「寄り添う」シナリオではあって、シオハラヤンキーはそのネタを用意するためのモンだろうとは思いますが。
しかしvostokさん、相変わらず「多弁な主人公」はあまり好きなではないようで、ここらへんが独占厨とカプ厨の歴然たる違いでしょうかw


vostok/daktil
残響さんのレビューにあった、行動で示す素朴な主人公というのは、読み物としては特に魅力的ではないのですがね。本当は病んでいるタイプが好きなはずなのですが、あまり肌に合う主人公はいないし、健康的ならば目立たないほうがいいかなという感じです。カプ厨というのはあまり分からないかもな。


nisetono
健康的でなら目立たないほうがいいw


vostok/daktil
明日原シナリオでは、主人公が告白に失敗しておかしなことになりますよね。

あそこで微妙な不安感を出しつつも、コメディ押し通してしまったのは面白かったですね

あっすーとの関係がヤンキー的というか、内輪的なノリで進んでいく。

ヤンキー的な感性というのはあまりオタクに親和的じゃない部分があるはずですが、コミカルな文章で引き込まれました。桐谷華ボイスの力についても考えさせられてしまいます。

内輪ノリ的な空気が出やすいというか。かわしまりのさんもそうですが、鼻にかかった声の人が演技がうまいのって、何かあるのかな。

声を自分でコントロールできている安定感・安心感のようなものがあって、そこにあっすーのキャラクター性をみたくなる。


nisetono

こういうところですね。ここらへんは確かに面白い。

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メタ的にシナリオ展開の意味から言うと、これは主人公がある程度はズルしているんですよね。

猫の姿になって明日原の思いを先に知ってしまっている。


vostok/daktil
なんかお互いに罪悪感めいたものがあって、でもそれははっきり描かれなくて、空気として漂っているだけなのかな。ちょっとウェットで、そういうところもヤンキー的というか。


nisetono

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これは多分どっちも正解なわけで、両方の感情があると思うんですよね。

あ、コイツ(主人公)自分が可哀相だと思って付き合おうとしてるなーっていうのと
私と付き合ったら迷惑掛けるだろうしなーっていうのが両方有る。


vostok/daktil
実際、告白がビシっと決まることなんて、あるんでしょうか。

言葉と自分の乖離みたいなのが気になっちゃって、ほろ苦くなりそうで(実体験というつもりじゃないですが)、このシナリオではそういうほろ苦さと恥ずかしさが描かれていた。

ひとあしらいがうまいはずの明日原が、自分のことになるとかっこ悪い展開になっちゃうのはどうしたものか、という感じですね。
残響さんも黒木シナリオと明日原シナリオは地に足がついている感じがすると書かれていましたね。

 
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nisetono
未知ちゃん(黒木ママ風の呼び方をあえてするオタク)の場合は、そういう言葉と自分の乖離がそのまま「過剰なセリフ」となって表れるタイプで、明日原の場合は遠慮と瞬間的な感情をそのまま出している感じはありますなー


こーしんりょー
未知ルートにて未知の背中を押す役割が明日原で、この性格(というか感情のコントロールの仕方)の違いが未知ルートにおける告白シーンでよく活かされてるなーと感じました。

そういう意味で、個人的に明日原は敗北ヒロイン力が強い。


nisetono

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残響
この地上ヒロイン二人は、外世界ヒロイン二人と違って、もがくことに価値があるシナリオですね。

もがき方とか、もがく対象の好みはさておき、もがくシナリオであることは確かかなぁと。


nisetono
うーん、もがくとか、実は「明日原が昔から主人公のことが大好きだった」みたいな話は、3割くらいしか正しくないと思うんですよね。

残響さんはこの作品を「思弁的ではなくて、行動的云々だ」とか(まぁノラについて)言いましたが、それは単に残響さんが思弁ピザデブに過ぎないからであって。
この作品はそのまんま、その状況におけるその登場人物のテキストつまり「その場におけるリアリティ」を重視したほうがいいと思うんですよ。

上の明日原は、ノラネコのノラと話しているときは「昔のドラマチックな瞬間と比べると、好きではない」と言っていて、それはそのまんま事実ととらえるべきであって。

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もちろん、こういう自分の感情を「好き」というくらいには、明日原には多少なりとも整合性はあるわけですが、

こういう経緯で至ったスキというのは「好き」とは言いにくいじゃないですか。

なんか依存チックで恋愛っぽくないというプライドだってあるわけで。

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だからそこで、こういう「軽い感じであきらめる」。

これは「それほど嘘をついてるわけではなく」て、vostokさんのことばを借りれば「空気感」のレベルで上手く自分をあしらってる感じですよね。
因みに、この「軽くあしらう」って言うの、残響さんには絶対不可能なスキルだと思うw


vostok/daktil
猫に語っちゃうという反則はありましたが、内面をなかなか語らない女の子なのがよかった


残響
今はじめて気づきましたが、自分は今までメタファーだの、意味性だの、母性原理だの、ヤンキーだのとさんざん語ってきたにも関わらず、そしてカプ観測者であるにも関わらず、人と人、コミュと個人との「距離感」について、ただの一度も触れてこなかったことに愕然としてる。(距離感に基づく「空気感」をそこに含めてもいいかも) はい、……はい。ひととの距離感が未だに掴めず空気が読めない残響ですこんにちわ。
そいから今気づきましたが、「軽くあしらう」の中に、自虐って含まれませんよね……(今まで自虐でもって相手を「いなす」ことが成功してると思ってた)
やべえ。この作品って、その空気感や距離感がすごく豊潤な作品のはずですよねぇ……。


nisetono


軽くあしらう

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自虐
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アイロニー
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哲学

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まぁこんな感じで続けていくと、明日原ファンクラブみたいになってしまいますので、これくらいでやめておきますが、距離感や空気感を殊更作ろうとしているっていうよりも、むしろ「人為のちょいエラー」から空気感や距離感生まれてくる感じはありますな。
たぶん残響さんが好きそうな「カプ厨的な空気感」というのは、お互いの思いが一致したり、あるいは何らかのユリ的な特殊ジャンル的なプロットから生み出される「役割が固定された」求心的な親密感なり悲劇感だと思うんですけど。
このルートの空気感や距離感というのは、もちろんそれだって人為的に作られたものだとは言え、ある種の不協和音やスレチガイを奏でながらも、そうしたエラーそのものを「登場人物たちの繋がり」にしているところはありますね。
言っていることの6割くらいは通じているんだけど、残りの4割は良く分かんない。

ただし、そのコミュゲームが依然として「続いてる」ということそのものが、通じているものの6割よりも大事だし、実は残りの四割の正体もそこにあるんじゃないか?みたいな話


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vostok/daktil
よくアイキャッチが入って視点がころころ変わるゲームがって、僕はそういうのはエロゲーの強みを殺しているようでいまいち好きになれないのですが、ノラととではそれがない(少しはありましたっけ)、よかった。


nisetono
この作品、それなりに視点(というか時制変化の方が多いですが)は変わりますが、アイキャッチはあまり無いですね

vostok/daktil
そういや回想とかは多かったですね。

さきほどのは、ヒロインの「本音」をそれらしく説明するための視点変更という意味で。


nisetono
アイキャッチにもいろいろな使い方はありますけど、基本的には「クギリ」ですよね。それに視点変化が合わされると「この登場人物の視点をお楽しみください」って意味が固定されちゃう詰まらなさはありますな。


vostok/daktil
まあ、だからといってノラの「本音」もうっすらしか見えない感じかもしれませんね。

明日原ルートで、マゾボさんの世界にのめりこんでいって、人間をやめそうになるという展開がありますが、

そこまでノラもぎりぎりなのかというのは改めて気づいたかも。


nisetono

アイキャッチにおける視点変更っていえば、ここ最近の萌えゲというかイチャラブゲでいえば、MeltyMoment
あたりの作品が典型的ですけど、こういう作品は最初から既に「ヒロインが主人公のことを好き」なのをヒロイン視点で暴露して、むしろそれを強調することで「ヒロインの惚気ボイス」を楽しむ作品としているわけですが。

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まぁその手法を逆手にとって、最後の最後に別の認識を持ってくるというシュガーの杏奈ちゃんシナリオをvostokさんには激しくお勧めしておきますがという余談はさておき 

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しかしかわしまりのさんスキーのvostokさんにはやっぱりメルティの葵さんをお勧めするぜっ。

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vostok/daktil
あ、そんな仕掛けもあるんですね。


nisetono
まぁベタと言えばベタですけどね。シュガ-の杏奈ちゃん
話を元に戻すと、このシナリオの場合、視点変化はその登場人物の「真意を語る」というよりも、その「時の感情を述べる」にとどまっていて、そうした視点変更の「プロット上の意味性」が確定化されない、っていうのが面白さのポイントでしょうか。

あからさまに「何かを隠している」わけではないので、あまり目立たないところはありますが、ここらへん、やり方がなかなか巧妙だとは思いますね。

僕が最初に小心者といったのはこういうことで、このシナリオは粗雑に見えて、実は結構手が込んでいる。
こういう話を「イチャラブエロゲ」的に言えば、まぁこれは黒木ルートの方がよくできていると思うんですが「イチャラブシーン」と「シリアスシーン」を完全に分けないって言うのも、僕的には評価ポイントですかね。、


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ココなんかは実にうまい伏線だとは思います。


vostok/daktil
前半のほうですが、こういうのもよかったな。

 

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nisetono
フォントが硬さとテキストの内容のギャップが酷すぎて、まるで残響さんが全裸になって「勃った、チンチンが勃った」と町の人々に報告しているようだ。


こーしんりょー
フォント設定は人それぞれだしツッコミいれないでおこうと思ったのに!


vostok/daktil
あ、そっか。僕はレイルソフトの希作品以来、このフォントばっかりになっちゃったので、コミカルな作品ではちょっと変ですね。


nisetono
フォントはエロゲ任せ(デフォ設定のまま)でワタシク


残響
ノラさんは朔屋さんみたいな屑じゃないやい! でも田中ちゃんという存在はレイル時空にいても不思議では……?(レイルネタ)
まあわりと、レイルのV-Rシステム……ようするにこういう字面ですが

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この埋め尽くし系の字面でノラととをやったら、エラいことになりそうだ……というか、やはりノラととはメッセージウィンドウでなくてはならない、という感じがすごいする。以前の詩テキストのクリック快楽の話もそうでしたが。


vostok/daktil
まあ、希作品は個人的に「正楷書体」がよく合うという話でした。脱線すみません。
たしかに上のシーンだとこのフォントでは変態チックですね…

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nisetono

まぁ真の変態は、この2016年のエロゲ対談の「インポテンツ枠」にレイルソフトを挙げている残響さんってことで、ここはひとつ穏便に尿を澄ましましょうw


残響
大迷宮はレイルじゃないよライアー本隊だよ!(ファン以外にはどうでもいい区別)
さてハルシオンを飲んで尿漏れギャザーをとりつけたわたくしは、いったい偽トノさんからどのように映ってるのかもう見当もつかねえぜ、というのはさておき、話を戻すれば……


nisetono
実際のところ、自称イチャラブエロゲスキー、他称絶対安全立命エロゲスキーとして、残響さんはこのシナリオのイチャラブはどうですか?
多少じゃなくて他称ですね。まぁ読んでいるのはぼくだけですが。


残響
「ネタにマジレス以外と甘い」ってイチャラブネタを何回かかますのが、上手いなぁ、と思いました。例えばこういうの

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一瞬、素に返るというか、普通にのろける。で、時間差でそれに明日原なりノラさんなりが気づいて、「うわっやべえ」みたいな感じで照れ隠し(ここでいうとこの「はいキス」)みたいな。

「ネタ」というのを間にどうしたって挟みますけど、それに普通にマジレスかまして、でもそれが正論トークにならず、一瞬でさらに切り返す。「機知に富んでる」って感じですかね。

そこらへんがクレバーだなー、と思う反面、意外と明日原と怠惰なダラダライチャラブにはならんかったなー、と。

明日原の家に行ってのエロはよろしかったですが、もっと日常の勢いでぐだーっと意味性のなさに振り切ったものを入れてもよかったと思わなくもない(うわ、こいつイチャラブに関しては意味性を放棄したぞ!)


nisetono
こーしんさん的には、こういう偽ビッチヒロインはどうっすか?


こーしんりょー
偽ビッチというか10年代的ご都合ギャルヒロインはそれほどタイプではなく、明日原もメインヒロインの中ではキャラ好感度が一番下なのですよね。

しかし、先の残響さんの「機知に富んでる」感じというか、コメディ的やり取りの中でしっかりニヤニヤできるニュアンスが入れ込まれてて、ニヤニヤ笑いできる。

先程のスクショのすぐ後に来るAVインタビューシーンとかその最たるものでした。一番下とは言えやっぱり打率は高いなと。


vostok/daktil
敗北属性があるっておっしゃってましたね。
個人的には、桐谷さんの演じるヒロインは、もやっとしたものを抱えているように感じさせられやすい気がします(プレイ済みは大図書館、ギャングスタ・アルカディア、らぶおぶ、ラブシックパピーズ。家族計画の準も演じたそうですね)。


nisetono
敗北属性なんてものがあるとしたら、勝利属性というのもあるんだろうか?

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 まぁ実際にこういうことを言えるヒロインは勝利属性かなと思いますが、ノラトトにはこの手のヒロインは流石にいないですねぇ。


残響

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ちなみにこれは、敗北属性じゃなく、たんなる人生の敗北者


こーしんりょー
ウィザコン・シンドローム……。
いやでもエロゲーの物語分岐構造は勝利も敗北も描けるという得意な性質があるので、それが活かされていると私は嬉しく思いますね。

特に私が目覚めたのは『ななついろ★ドロップス』における「撫子ルート」こと「すもも敗北ルート」です。超おすすめ。

nisetono
それでは
僕は敗北属性ならぬ逆NTRスキーなので、是非に明日原ちゃんにはシャチルートあたりで、ノラを寝取ってくれると、っていうのはこの格調高い対談にふさわしくないので以下自主削除させてもらいますが。
そうっすねー。僕は明日原ちゃんのこういうところが好きですね。


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これを認識の変化と言うべきか、それとも認識とか信念と言ったそういった思弁的なレベルの変化では無くて、その現実に素早く対処しているようで、実はあんまし対処できていないような不器用な明日原ちゃんが可愛いですね。

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こういうところでは妙に小回りが効くのも上手い描写だなぁとは思います。そういう自分の「悪い仲間の嘘を見破りながら」も、そういう連中と付き合っていることはあまりいいたくないあたりも良い。

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ここらへん、倫理的なテーマとしては、黒木ルートの黒木ママの真の問題である「サイコパス問題」と近いところはありますよね。

様々な人の感情や信念をリスペクトしろと、さっきのこーしんさんもそれに近いことを言いましたが、でも、そんなのは簡単に裏切ることも出来るし、それよりも深刻なのは、こうやって明日原ちゃんは何気に先ほどの「自分が堪えれば良い」を裏切っている。

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さっき、最後の仇討ち展開が駄目だっていった、こーしんさんはここらへんはどう思いますか?


ノラトト対談-ノラと明日原と潮干狩りルート4「ダサい。やっぱダサい。聞けば聞くほどダサいです」