こーしんりょー
知的な柔軟さでもって現実問題に対処しようとし、自分を含めた仲間たちの幸福を求める明日原の姿勢が良いというのは共感します。

一応、「様々な人の感情や信念をリスペクトしろ」とまでは私は言っていなくて、そもそもシオハラ君という敵対している対象が感情や信念のない、リスペクト可能という前提以前のハリボテでしかないから、そのハリボテと同程度にまで落ちる仇討ちという展開は望んでいないし作劇的にマイナスだ、と思っている。
その上で、明日原というヒロインが現実問題に対処しようとエロゲヒロイン的な優等生発言を裏切って、その信念をハリボテにしてまでも、状況に順応しようとする。

それと同様に、プレイヤーが勝手に善だろうと捉えていた主人公グループがそれを裏切って、作中の仇討ちシーン直前の台詞を引用すれば「キレる」ことによって、

その仲間や友情といった描かれていることがハリボテに見えてしまうように「見せる」ことで、明日原というヒロインの内面的な変化とシンクロさせてると考えられなくもない。
……けどなあ。そう深読みしてもあんまり面白いとは思えないなあという感じです。


nisetono

そりゃこれはどう見ても(完成度とは別に)倫理的には面白くない話ですからねー。残響さんはそこらへんがよくわかっていると思いますが。

普段からこういうことをツイッター上でいっておきながら、実際は恨み満載の残響さんとしてはね。


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まぁ別にこの手の話は残響さんだけじゃ無いですけどね。ツイッター上で良くある話じゃ無いですか。

誰も恨んじゃイケナインダーって言っておきながら、その数分後にはキレてる人っていうのは普通に多いですよ。
だから、こういう意味で僕はこのルートをヤンキー云々に卑小化するのは嫌なんですよね。

これって単なるよくあるリアリズム的光景であり、ちっとも面白くない倫理的ディレンマだと思いますよ。


残響
どうもねー、まだそこまで辿り着けないんですよ。

まだ、明日原の言う「そういう力」っていうのが、消えないんですよ。

あのー、さっき恨み節復讐、って言いましたけど、実は自分は復讐と言うものの有効性すら信じてなくて。これはぼくだけかもしれませんが、たとえ「そういう力」を振るったそいつが〇んでも、「起こった出来事」はフラッシュバックの形で自分に概念的に刻まれて、始終悪夢という形で残り、リフレインするんです。

そいつがとんでもなく惨めで汚濁に塗れてズタズタに〇んでも、それと「起こった出来事」……事象、って呼んだほうがいいかな。「そういう力」が解き放たれて誰かを傷つけた場合……もちろんそいつが起こした出来事ですから、そいつのせいではありますけども、そいつが例え自分の復讐によって〇んでも、この記憶のフラッシュバック悪夢は消えない。
そんでもって、「そういう力」っていうのは、自分の復讐とか、自分の奉仕とかと、まるで無関係に存在しますから。事象として。記憶として。フラッシュバックの悪夢として。

じゃあ、それに犯されて病気にすらなったら、これどうするか、っていうと……自分がきれいごとを吐くのは、「道をとりあえず片づけとく」っていうものですね。すべきことは、忘却かもしれない。

許す、っていうことなのかもしれない。無視かもしれない。ただ、それらをするにせよ、とりあえず言葉から綺麗にしておきたい。●してやる、が息を突いて出るよりはいいでしょう、みたいな。
うまく説明できなくてごめんなさい。だいたいそんな感じです。悪夢を、どう取り扱っていくかって話です。

明日原ルートでキャプとるの忘れましたが、「憎むのにもエネルギーがいる」っていうことで。

そのエネルギーを別の善きものに昇華したい、って考えるのは、ほかでもない自分です。

だのに、……まだそこまで、たどりつけないから、きょうも悶々とする恨み節との付き合い方を本で学ぶのでありました、まる。


nisetono
こりゃ酷い展開ですな

たぶんライターが予想してない読者っていうのはこういうタイプだろうなぁと。

うーんっと、なんすかねぇ。僕にとってはこの話は、凄く単純な話なんですけど。

WIRED.jp
https://wired.jp/2014/05/11/literacy-on-facebook/
さっきのこーしんさんの話にまずは繋げると、別に明日原は「知的な柔軟性」なんて持ってないですよ。

というか、このシナリオにおいて、まぁ一般論的な意味で登場人物が社会的に問題と言えるのは、彼らが非識字者の一種だからですね。

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>したがって、機能的非識字者は、自身の直接的経験と比較することによってのみ、世界を解釈する(例:経済危機は自身の購買力の減少でしかない。ウクライナにおける紛争は、ガスの料金が増加して初めて問題となる。税金のカットは(それが公的サーヴィスのカットにつながるとしても)正しい)。そして、長期的な結果を考慮に入れた分析を練り上げる能力をもたない。


まぁ、未だに「消費税増税が財政問題の解決になる」と思っている人が、日本では2~4割近くは要るわけで、別に一般人の全てが「合理的な計算をしている」というのは誤りですが、基本的にそういった能力が「低い」たちと言うのは要るわけです。

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もちろん、上に挙げたように、別に彼らが「人間的ではない」とか「普通の人間と違う」みたいな話をしたいわけじゃありませんし、この明日原だってノラだって「多少は思慮が足りない」人間程度ですよ。

僕みたいに喧嘩売りまくっている、僕がこういうことを言うのはアレですけど。
上で明日原ちゃんが言ってることは、別に「知的に柔軟な」話ではなくて、これまた単純なリアリズムで「ノラは自分のものだから、もっと自分以外の私についても責任を持ちなさい」ってことですよね。
まぁだからこそ、この手のヤンキーと言われている人に「結婚を勧める」というのは、社会的秩序としては実に正しいわけですよ。自分しかいなきゃ無鉄砲になるけども、配偶者がいればそれなりに長期的な戦略を立ててくれるようになるけで。
もちろん、この上の明日原ちゃんの台詞も「自分で裏切る」ことになるっていうのが、このシナリオのお味噌なわけですが。
で、これにはもう一つ裏がありまして「知的な合理性を持つ人間は、この手の話をそれなりに合理的に嫌う」という傾向はありますね。

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まぁ、こーしんさんに敢えてケンカを売れば、まいてつ対談で僕はこーしんさんをロマンティストだと言いましたが、そこは撤回させて頂きますと。


こーしんりょー
うーん、たしかに「知的に柔軟な」は言葉を誤った感がありますね。もっと本能的な危機察知能力からきてる。

いやまあ、でもこうして構造を整理されても主題に興味が持てないし、やっぱりこのルートが好きになれないなあと再確認。


vostok/daktil
きれいごとで終わる話じゃないし、実際に明日原は倫理的に底が抜けて流されてしまった状態を知っているからこそ、キャラクターとして信頼できるところもあります

それをクソリアリズム扱いしてもいいのかもしれませんが、そういう危ういバランスの上にある愛情だから実感がある。それをいうと依存好きか。…そんなに暗い話じゃないはずなんですが


nisetono
うん、べつにくらい話でも無いんですよこれ。ただ、これをどういう話かというと「実に要約しにくい」話ですよね。


残響
しにくいですね。「一緒にいる」ことの「責任」っていうふうに言おうとしましたが、それって必ずしも善であったかばっかりとは限らない。だってDQN連中と明日原がつるんでたのだって「一緒にいる」ってことですし、「責任」の所在で間違った判断(ぼくが言うのもなんですが)をつけようともしてる。そういう風に意味性も変わってくる。

nisetono
スッキリしないのは、基本的にこれは黒木ルートと同じで、前にも描きましたけど、ここでは「ドラマツルギー」とシナリオというか「テーマの意味性」が綺麗に一致していないわけで。
つまり、物語の山となる「仇討ち」のシーンはある種の「ドラマツルギーの解放」という意味では「盛り上がります」が、実のところ物語のテーマ性においては「仇討ち」そのものは、倫理的な意味やカタルシスが有るわけではなくてこの「仇討ち」ですら倫理的ディレンマのひとつなんですよね。
そういう意味においては、これは黒木ルートと一線を画すわけです。

もうあっちは比喩的にも実際的にも「バケモノ」化しているし、結局は「黒木道」逝きになってる。

でも、こっちはギリギリのところで「普通の人間」に留まっている。

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そうっすねぇ。僕がこの手の話を結構好きなのは、別に「昔は不良だった嘘話」はないんですが、こういうギリギリな倫理的なディレンマって言うのを、人の心にみるのが結構好きだからでしょうか。


vostok/daktil
いちゃらぶ専門家(というと違うかもしれませんが)の偽トノさんですが、こういう作品もよく論じていましたっけ?


nisetono
いや、別にこういうエロゲそれ自体が好きっていう事でもないんですけど、一つにはある種の判官びいきみたいなところはありますね。
だって、一応はこういうシナリオがきちんとあるんだから、別にそれについて好き嫌い、または完成度が低い高いを言うんだったら、一応はシナリオの構造くらい把握してからそれを議論すべきでしょう。

それすらしないで糞シリアスだとか茶番だというのは、建前論的にはぼくの公正心が許さないし、まぁ本音の感情論的には、こういうテーマをきちんと読み解けないで「シナリオがどうこう」って言ってるやつが嫌いっていうのはありw
それに、こういうのは理解する人が少ないかもしれませんけど、イチャラブって本質的にはアポリア的なものだと思いますよ。何らかの整合性や理屈があって「この人は好きだ」をやろうとすると、どうしても俗っぽくイヤらしくなってしまう。

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まぁ因みに、僕個人としては倫理的ディレンマを全く感じさせずにいつの間にかそれを踏み越えまくっているこういうヒロインが大好きだとは言っておきますがねw


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vostok/daktil
確かに説教っぽいゲームはあまり楽しめなくて、かといって反骨精神を押し出すとそれだけで終わってしまう危険もあるから、そういう軸から外れた何かがあるといいですね。


nisetono
そういう意味でこの作品は、残響さんが(まぁ僕から見ると読み損ねているとは批判的には言いますが)感想またはココで「ヤンキー的」なものを感じるといいますが、不思議とヤンキー的な価値観をそれほど色濃く出しているわけではない

まぁ、個人的な話で言えば、実を言えば僕はこの作品「エロゲー」としてはあまり好きじゃ無いんですよ。ツイッターにも書きましたけど、この作品と他のイチャラブゲーだったら、別に他のイチャラブゲーでもやっていた方が楽しいところはある。


いや「好きじゃ無い」といったら変かな。「イチャラブゲーとしては楽しむことが出来ない」場合、僕はそれを割りと普通のフィクション的に読んでしまうところはあるので。

でも、そういう「フィクション的にエロゲを読んだ場合」には、この作品は普通に良い思春期エロゲだとは思うんですよね。そう言う文脈で、この明日原ルートも評価しています。

残響
まあ、主観客観の分離が、ことこういうトラウマタイズされた対象になると、全然うまく出来ない。そこはまず自分が「落ち着け」ってところでしょう。

そもそも落ち着くことなしに、このトラウマ悪夢から逃れることは出来るのかい?ってことでもあります。自分自身の過剰反応というセンが濃厚でもある。

ただ、これは見方の違いだとは思いますが、偽トノさんは価値観を色濃く出しているわけではない、と仰います。そう、ひとつの価値観を提示し、その価値観を肯定する意味で、ユーザに説得的にもちかける、という「打ち出し感」がある、とまではぼくも言わない。

それでも、「ヤンキー的なものを感じる」のは、「ヤンキー的なものを自然と含んでいて、それにそんなに疑問も持ってない」っていうふうに見受けられる。ようは、はと世界、ノラとと世界が「それもOKなんだよ」としているナチュラルさ、にどうも……ここまで書くと、自分はヤンキー的なものの可能性を一切認めない主義者だ!っていうふうに見えるなw
だから世界の切り取り方の問題だとは思いつつ、でもレビューであれだけ世界の豊饒だの、開けた世界だ、の言ってる立場からすると、もうすんごいこのヤンキーというファクターって取り扱いがしにくいんです

黒木ママにしたってそうですが。


vostok/daktil
2のノブチナルートはどうなることか…


残響
アフン(沈没


nisetono
何気に追い打ちをかけるvostokさんは既に親分の貫禄があるので問題無いですねw


vostok/daktil
いや、僕も多少不安ですよw 黒木・明日原ルートと似たような倫理に関する話だったら、ちょっと盛り上がらないかなと。


残響
ノブチの姉は弁護士ですから、どうしたって(法)倫理には関わる話かと……(ブクブク(海の底から


nisetono
それでは、この明日原ルートが、果たして「倫理」を語っているのか、それとも単なる「恋愛劇」なのか?最期の質問をぶつけて、今回の対談を終わらせたいと思いまする。
まぁ流石に未読の読者の為にネタバレはしませんけど、この明日原ルートの最後、明日原ちゃんはある決断をします。そこらへんをチラっとキャプを貼っておくと



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まぁこれは正確に言うと「決断の後」のシーンですけどね。

さて、最期の質問は、ズバリこの明日原ちゃんの決断は正しかったのかどうか?
まぁ別に答えだけでも良いですが、宜しければ、その理由も書いて頂ければなと。
決断:正しくなかった。理由:希望の党は何があっても実現しなくてはいけない!
みたいな感じでお願いしますとリアルタイムネタをぶっ込んでみるテスト


nisetono
因みに、このシオハラと言う名前もメタファーであるのは言うまでも無く、シオ=砂=死である塩原さんは「死の世界」に属しており、明日原ちゃんは以下略


nisetono
それでは、皆さん書けたようなので、オープン・ザ・インポテンツっ!


vostok/daktil
決断:意外には思いませんでした。それまでの流れからしても一貫している。このキャプのシーンも、みよきち関連の回想シーンも、雨が降っていた。正しいかどうかは二の次かな(逃げ気味
理由…というわけじゃありませんが、倫理とか恋愛とかをすっきり分けていない。青春物なら当然ですが。そこに温かみがあるように思います


こーしんりょー
決断:正しかった。
理由:
ノラはキレてしまった。そして暴力を振るってしまった。つまり、堕ちてしまった。
ユウキも噛みついた。かつて自分を護ってくれた大切な人たちを捨ててしまわないために。共に堕ちてしまうことを覚悟した。
だから、これを正しいと言わなかったらユウキが救われない。
でもよおセンコー……この正しい決断をユウキに強いることになってしまった原因については、やっぱり私は間違ってると思うワケよ。
だから、間違えに間違えを重ねた挙句の果てに、辛うじて「正しかったよ」と言ってあげたい。


nisetono
決断:正しい
理由:単純明快な話ですね。明日原ちゃんにコレを言う為には、あの決断を下さないとこの言葉が嘘になるから。

等身大の自分なんてどこにもいなくて、儚いものこそが美しいものであったからこそ、瞬間を永遠に繋げる決断と呪文が必要になる。

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残響
決断:正しかった
理由:
(口上)
計る計ると思いのほか、却って馬鹿めに計られしか。
たといこのまま果てるとも、死んでも仁義は貫かにゃならぬ。
命をとるのも殺生と、存じたなれどつけあがり。
やんごとを得ず不適もの、刀の穢れと存ずれど。
行き来の人のためにもと、よんどころなく斯くの仕合せ。
雉子も啼かずば討たれまい……? 一宿渡世の義理たたぬ!
我慢ならねぇ野良猫はぁと、しらざぁ言って聞かせやしょう、
永の無聊の慰みに、そっ首引いて並べるぞ!

訳:ここでPUNKらにゃザンキョがすたる


nisetono
さて、本来ならば、こうした皆さんの答えについて「対談」するべきでありましょうが、残念ながらエロゲと同じく人間の時間は有限なのでありまして、ここらでこの対談を終わらせたいと思いますが。
しかしながら、当然こうした物語を巡る是非は、この「控え目に言っても愉快とは言い難い対談」のようにエンドレスのように続いていくわけで、今後、この対談社のツイッターのアカウントに突撃しても構わないわけですよ

そういう意味で、このような対談それ自体は別に「そんなに、楽しいことでは無いし、愉快なものでは無いかもしれない」。この明日原ちゃんルートのように。

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もちろん、別に僕は「それが人生だから受け容れろ」みたいな一般論を言うつもりはありません。、

そういう「楽しいことでも無いし、愉快なものでも無い」と言うことについて、感情論的であれ、理窟的であれ「何かを言いたくなった」のならば、この対談の企画者としては、これ以上に嬉しいことはありません。

あなたがシオハラであろうと、明日原ちゃんであろうと、業の深いエロゲオタであることは幸福なことだと思います。


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さて、次回の対談は、残響さん曰く「楽しいことばかり」なこの娘のルートのようでしょうが、果たして、この特攻自虐爆殺仏陀対談ティームがそんな自虐野郎の思い通りのイチャラブトークをさせてくれると思っているとしたら100年早いのだぁ!

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それでは、みなさん、次回の対談をお楽しみにね!